CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃を読んでみました。
この本ってどんな本?
CBDCと言われる中央銀行が発行するデジタル通貨とはいったい何?今、世界はどうなっているのか?Facebookが何かやろうとしていたような、中国がデジタル人民元をやるらしいとか、Suicaとか楽天payとは何か違うの?これらの違いと、CBDCと言われる中央銀行発のデジタル通貨の現在の状況を解説してある本です。
実際、普通に生活している分には、身近とは言い難いのですが、ここから何十年もこのままの通貨の状態でいることは、現実的ではなさそうで、何も手を打たないという選択肢は無さそうです。そして、日本はCBDCを採用するのか、採用できるのか?著者の取材も含めて見解も示してくれています。難しい内容の本ですが、現代社会の勉強になる本です。
この本をオススメしたい方は?
・CBDCって何?と素朴な疑問を持たれている方
・世界経済と現代社会の勉強をしたい方
・株や債券や投資信託などの投資をしている方
この本のざっくり紹介
|あらためて、CBDCの定義とは|
CBDC。全くお馴染みでない言葉ですが、正式名称はCentral Bank Digital Currency。中央銀行デジタル通貨、頭文字をとってCBDCとなるそうです。現在この形式の通貨は実証実験を行なっている国はあっても、完全に採用している国はまだ無いそうです。
|CBDCはSuicaや楽天Payなどとは何が違うの?|
デジタルでお金を使うことって、Suicaや楽天Payなどで普段からやっていることなのですが、これらは、独自の通貨圏ができているわけではなく、企業が管理しているものになるのですが、これでは通貨としては使いにくい。(現金とSuicaを比べると、Suicaは現金ほどは使いやすくはない)では中央銀行デジタル通貨は国が管理する必要があり(日本で言えば日銀など)、現金のように流通しやすいことが条件になります。
|中央銀行券とは?|
中央銀行券とは、実際のお札のことでリアル紙幣です。今回のCBDCはこの中央銀行券をデジタル化してしまうことになります。このデジタル通貨の管理方法が2つ想定されていて、一つが中央銀行に個人が口座を持って中央銀行が管理してしまうやり方。もう一つがビットコインに代表されるブロックチェーンの技術を使って、管理してしまうやり方だそうです。
|何でデジタル通貨をやろうとしてるのか?|
本書では、中国のデジタル人民元の存在が大きいとされています。デジタル通貨は銀行などを使わずに、送金や決済ができることが想定されていて、この便利さにひかれて国内の資産が中国のデジタル人民元に流れる可能性が指摘されていて、そうなる自国の通貨の存在感が無くなっていくので阻止したい。
また、中央銀行が金融政策を行いやすくなることが想定されています。実際の紙幣の現在のシステムよりもコントロールがしやすくなるそうです。
|日本以外のCBDCの準備状況は?|
中国のデジタル人民元以外にも、色々な国でCBDCの研究が進んでいるそうで、イングランド、スウェーデン、オランダ、カナダ、韓国、シンガポール、EUなどが研究を進めているそうで、世界の金融の主導権を取りたいし、取られたくないという感じだそうです。
この波に乗り遅れると、自国の通貨を持っている国は、気を抜くと、自国以外の通貨がメインで使われる危険性が出るとのことで、確かに、普通に元やユーロの値札が街中にあって、買い物をするのには、個人的には抵抗感があります。日本国内では円であって欲しい。
|日本のCBDCの準備状況は?|
日本は2021年に実証実験を始めるとのことです。ただ、問題山盛りのようで、CBDCが本格稼働すると、貯金と送金は銀行がいなくても、できるようになることが想定されているので、銀行の収入源の一つの手数料が激減することに対してどうするのか?、日本人は現金決済が大好きなので、CBDC以前の問題としてキャッシュレスへの切り替えすら大変そうとか・・・・ハードルは高そうです。
ページ数と読みやすさのイメージ
200ページ弱くらいの内容です。
ページ数は少ないのですが、金融や経済の知識レベルによって、相当読む時間に差が出ると思います。私は今まで比較的、金融や経済の本も読んできたつもりですが、今回は手こずりました。一気読みは厳しいかと思います。
読む前に、Youtube大学でこの本の授業動画がありますので、それを見てから、この本を読む方が良いかなと思います。私は本を読んでから動画を見たのですが、逆の方が良かったなと思いました。ではでは。