【池上彰の日本現代史集中講座】池上彰が教える。学校で習わない現代日本史

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「政治のニュースがよくわからない」
「バブルって何があった?」
「日本と韓国はなんでこんなに仲悪い?」

ニュースを見ていても、事故や事件なんかは脈略なく、いきなり起きるものなので、分かりやすいのですが、政治や国際や経済のニュースが出てくると、「なぜこうなった?」「そもそもなんで?」と根本的なことがわからないものが多くありませんか?

ニュースは限られた時間の中で、たくさんのことを伝えなければならないので、そもそもの説明をする時間がないのは仕方ないと思うのだけれども、わからないものはわからない。

この本は、近年のニュースに出てくる政治や国際や経済などの、「なぜこうなった?」「そもそもなんで?」を解説してくれている内容になっています。

かなりの数の「あーそういうこと」が出てくると思います。
現代日本史を知る一冊です。

目次
第1章_日本型民主主義の危機
・安倍一強と日本型民主主義の危機
・安倍から菅、岸田へ・・・それでも強い自民党
・自民党と社会党の対立
・政治と宗教の関係
第2章_日本を取り巻く外交問題と安全保障
・日本と韓国はなぜ揉めている?
・「韓国併合」の評価めぐり対立
・日本を守るのは自衛隊?米軍?
・自衛隊と集団自衛権
・アメリカはなぜ沖縄を支配するのか
第3章_日本経済の光と影
・高度経済成長の功罪
・バブル景気がもたらしたもの
・失われた30年はいつまで続く?
第4章_日本が抱える社会問題
・メディアは権力を監視しているか?
・原子力、エネルギー問題

 

この本の内容拾い読み

アベノミクスって一体なんだったのか?

István KisによるPixabayからの画像

ニュースなどでよく聞いた単語「アベノミクス」これが良かった、悪かったなど色々言われてましたが、アベノミクスって一体なんだったのでしょうか?何のことだったのか?

「アベノミクス」とは
・大胆な金融政策
・機動的な財政政策
・民間の投資を引き出す成長戦略

2013年に始まったこの「アベノミクス」とは、これらの3つの施策を”三本の矢”による経済政策です。
アベノミクスは結果として、いいことばかりではなく負の面も生み出したようなのですが、とりあえず、具体的に何をしたのか確認してみましょう。

「大胆な金融政策」
金融機関の所有する国債を国が大量に買い上げて、銀行がふんだんに現金を持つ状態を作って、お金を貸したい銀行が増えることで、結果的に金利が下がることを狙った施策で、さらに日本は輸出企業が多いので、円が大量に市場に出回ることで円安状態になることから、輸出企業が元気になる効果澪併せて期待したもの。

「機動的な財政政策」
俗にいうバラマキを行う施策で、民主党政権時代に凍結されていた公共事業を復活させて、地方の景気を活性化させる施策のこと。

「民間の投資を引き出す成長戦略」
「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」によって浮上させた景気を、中長期的な成長につなげていく政策のこと。

バブル景気って一体なんだったのか?

PexelsによるPixabayからの画像 

バブル景気

バブル景気は1986年12月から1991年2月にかけて起きた好景気のことで、きっかけは1985年9月に行われた、先進5カ国の大蔵大臣と中央銀行総裁による会合で、アメリカの貿易赤字の解消のために、「ドル安」にすることを日本が容認したというものです。
この出来事を、この話し合いが行われたアメリカの高級ホテルの名前を取って「プラザ合意」と呼ばれます。

実際にドル安にする方法として、プラザ合意の2日後に大蔵省は日本銀行を通じて、大量のドルを売って円を買うという行動に出て、当時1ドル242円だったものが230円になり、同時にアメリカは金利の引き下げを行い、利子があまりつかない状態にして、日本円やドイツマルクに投資するように促しました。

結果として1ドル242円だったものが200円を切るまでになりましたが、その結果として日本の輸出産業が大打撃を受けて「円高不況」が起こります。

この不況対策のために、日本銀行が民間の銀行に資金を貸し出す金利を下げる対策を行います。その効果として、一般企業は安い金利で銀行からお金を借りることができたので、企業は投資がしやすくなり経営を拡大することができるようになりました。

円高になったメリットとして、輸入品の値段が大幅に下がることで消費が拡大し、景気が上向くという結果になりました。

さらに企業は安い金利で借りたお金を、本業以外にも使うようになります。
大量の資金が流れたのは土地です。

1985年5月に当時の国土庁が発表した「首都改造計画」というもので「東京では2000年までに超高層ビル250棟分のオフィスが必要になる」という文言が「東京の土地が足りなくなる」という解釈をされてしまいました。(国土庁は土地が足りなくなるので、首都機能の移転を促すための文章だったようですが・・・)

この本来の意味とは違う受け取り方をされてしまった結果、国内の不動産会社や建設会社が土地を買い始め、さらに欧米の金融機関が日本の好景気を逃すまいと一斉に日本に進出し、都心の一等地でオフィスや従業員のための住宅を確保し始めたため、どんどん不動産価格が高騰

どんどん土地の価格が上がっていくのを見た、たくさんの企業が、不動産業界以外の企業も土地を投資商品として購入するようになりました。

土地以外にも盛り上がったのが「株式投資」です。
1987年2月NTTが上場し、政府が持っていたNTT株を売却して政府の収入にしようとしたところ、政府の売り出し価格は1株119万円だったのですが、2ヶ月後には1株318万円まで上昇。NTT株の高騰が「株は儲かる」という印象になり、それまで興味を持たなかった国民も株式投資を始め、株を買う人が増えたことから、株価はみるみる上昇、それを見た人がさらに買うという循環が始まります。

株高のムードが漂っている状態なので、企業は株を発行することで、簡単に大量の資金が手に入るようになります。

その資金を使って価格が上がり続けている状態の土地を購入し、その土地を担保に入れてさらに資金を借りて投資に回すという、株で起きているような投資の循環が土地でも始まります。

有り余った資金は海外にも向くことになり、海外のゴルフ場などの買収という事例が出てきます。有名なエピソードではニューヨークのロックフェラーセンタービルを1企業が買収する事例も起きました。

バブル崩壊

この景気の加熱ぶりを放置できなくなった日本銀行は金利の引き上げを行い、銀行からお金を借りにくくするすることで鎮静化を図ろうと計画します。

外国人投資家たちはいずれ日本の金利が引き上げられると予測していて、仮に金利の引き上げが行われた場合、「日本の金利が引き上がれば、アメリカに投入されていた日本からの資金がアメリカから流出し、アメリカに投入されていた資金が日本国内に戻りアメリカの株価が下がる」

そう考えた投資家たちが、実際に株を売りに走ったため、1987年10月にアメリカで株価が急落し「ブラックマンデー」と呼ばれる金融危機が起きました。

日本銀行は計画していた金利の引き上げのタイミングを失ってしまいます。
ここで、日本が金利引き上げを行うと、アメリカから資金が本当に流出し、金融危機が発生したアメリカの株価がさらに下がると判断したからです。(そもそものきっかけが「プラザ合意」でアメリカの貿易赤字の解消を目的としたものでした)

このアメリカへの忖度によって、バブル景気は膨らみ続けます。
日本銀行が金利の引き上げを行ったのは1989年5月から段階的に行い、金利2.5%から6%まで引き上げました。

金利を引き上げた結果、金利が上がったことにより銀行からお金を借りにくくなり、土地を買う動きが鎮静化します。

土地の需要がなくなると、土地の値段が下がり始め、それで損をした人たちが穴埋めのために株を売りに走りました。

これによって日本国内の株価が暴落。
1991年3月から1993年10月にかけて景気が急速に後退し、ここにバブルが崩壊しました。

追い討ちのように国家財政の立て直しを行なっていた政府は、1997年4月に消費税を3%から5%に引き上げを行い、これによりさらに景気が冷え込みました。

この結果、土地を担保に大量の資金を借りていた不動産会社が次々と倒産。貸していたお金を返してもらえなくなった銀行は多額の不良債権を抱えることになります。

この時代には、本業以外に土地や株を売り買いしていた企業だけでなく、大手証券会社が倒産、いくつかの地方銀行が破綻もしています。

終わりに

日本の直近から近代史の範囲の疑問が、なぜこうなったのか?
そもそものお話がわかる一冊です。

アベノミクスとバブルについて、拾い読みで紹介しましたが、他にもたくさんの疑問が解けると思います。

現代日本を知りたい人にはオススメです。
ではでは。

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