コロナ禍でたくさんの企業が導入したリモートワーク。
この本は、リモートワークを有効に機能させるための手法を、色々な事例をもとに解説した本になります。
かなりきめ細かい内容で、コロナに関わらず、リモートワークの可能性を考えさせられる内容で、特に管理職の方にはオススメの本です。
コロナ禍でやむをえず、強引にリモートワークを始めた企業も多いと思いますが、いい方向に進んだ企業と、うまくいかなくてオフィスに戻らざるを得なかった企業があるのでは?
戻らざるを得なかった企業の場合、
業務の形態として、そもそもリモートワークが難しかったのか?
リモートワークのやり方に問題があったのか?
このあたりを振り返るきっかけになる本だと思います。
この本の内容拾い読み
オフィスの歴史
1980年代のオフィスは、上級職は個室などの広いスペースを与えられて、それ以外の職員時は狭いスペースという、「密集」が多かったようです。
階層を強く意識した企業デザインだったこともあり、階層ごとに執務環境を変えていくというのは、階層を強く意識させ、競争原理を持ち込むためのメリットが多かったようです。
2000年代にかけて大部屋方式を採用する企業が増えてきたとのこと。
狙いは、コラボとチームワークの促進だったようで、知識労働者の重要度が上がって、部署を横断するチームが作られることが多くなったのだとか。
このあたりはプロジェクトチームという単語が流行った時期だったと思います。
2000年代のその先は、大部屋方式は変わらずに、徐々に社員一人当たりのスペースが減っていっていき、アメリカの例だと2010年は平均18.5m2だったのが、2017年は平均12m2にまで減少したそうです。テクノロジーの進化で、機器類の圧縮が進んで必要スペースが減ったのが原因かと?
今、大部屋方式に移行すると、昔の大部屋時代に比べて対面のやり取りが70%減少し、それを埋めるように電子機器のやり取りが増えたといったデータがあるそうです。
大部屋ということは、みんなで1フロアで顔を合わせているということで、それにもかかわらず、対面のやり取りが減少するという、一見理解が難しい状況なのですが、メールとチャットなど周辺機器の発達がこの状況を後押ししているのは、間違いないようです。
オフィスがなくても成立する・・・?
コロナがきっかけで、在宅勤務やリモートワークに突入した企業は多いですが、富士通では「全員が毎日オフィスに出勤する生活に戻ることはない」と明言しています。
通勤にかかる2時間のロスを、他の時間に回すことができるのが大きな理由だそうですが、実際にリモートワークが可能な業態や職種は、時間を有効に使えることに気づいたんだと思います。毎日2時間は大きいです。
実際にコミニュケーションは、昔と違って電話やSlackなどのチャットツール、Zoomなどの映像付きの音声コミニュケーション手段などが発達していますし、
デバイスも昔は処理速度や通信環境の問題から、有線でインターネット回線と繋ぐ方法以外は、少し機能面で厳しい感じでしたが、現在の4G5Gの無線通信環境の向上と、スマホでも大概のことができる手軽さが、このあたりの問題をほぼクリアにしてしまった印象があります。
リモートワークがもたらしたもの
この本では、リモートワークが企業にもたらした前向きな材料が紹介されています。
・人々のデジタルスキルが高まった。
・官僚主義を葬り去ることに成功した。
・柔軟な働き方がもたらす恩恵と困難が見えた。
・「オフ」スイッチの大切さがわかった。
・人と人のつながりの重要性が再認識された。
実際に私もフルタイムのテレワークを体験して、その後コロナ禍が落ち着いて、私は毎日通勤スタイルに戻ったのですが、これらのことは実感しました。
これらを、『体感』できると、働き方というものを本当に考えることかできると思います。
終わりに
この本は、リモートワークがもたらしたプラス面を継続させながら、リモートワークが引き起こすマイナス面を解消していくことを考えている本です。
マイナス面の解消については、組織レベルの大枠の内容から、個人レベルの具体的な悩みや問題も書かれていて、それらの解消についてどう取り組んでいくのか?どう組織をデザインしていくのか?ということを、色々な実験や事例からも検証されてる、きめ細かい内容だなと感じました。
経営者や管理職の方には読んで欲しい本です。
ではでは。