「鋳物の会社がカフェを経営してブライダル事業も展開。」
これだけ聞くと、
「そんなバカな」
「どうせ軌道に乗らない」
「本業と関係のないことは続かない」
「シナジーが得られない」
こんな感想になりがちなのですが、この会社はそれが成立しているんです。
家業で4代目までは、鋳物を作って販売をしていたようなのですが、5代目となる人が、家業の鋳物の技術の凄さに気がついて、展開をしていきます。
「新規事業なんて、そうそう上手くいく訳がないよ」
そう思っている人には、この本が何かのヒントになるかもしれません。
この会社は見学ができるようです。
いつか見てみたい。
そう思える会社なんです。
目次
1章_100年企業4代目社長の娘として、「伝統をつなぐ」葛藤と決意
2章_ものづくり未経験、知識ゼロでもできるのは「人をつなぐ」こと
3章_「異業種とつなぐ」ことで伝統産業にイノベーションを
4章_職人の技に触れる工場見学会、地元の食材を楽しむカフェ、季節ごとのイベントで「地域とつなぐ」
この本の内容拾い読み
しないことを明確化させる
職人が楽しく仕事をすることが重要で、「しない」ことを4代目が、はっきり打ち出したのだそうで、その内容が凄いです。
「売上を追わない」
「営業をしない」
「社員教育をしない」
「同業他社と戦わない」
通常の会社であれば、追求すべき4箇条のような内容を追求しないという、普通の会社であれば意味がわからないともいえる内容です。
大きな儲けも出ないのかもしれませんが、職人が楽しく仕事をするということに全振りしたような施策です。
見方を変えれば、技術力の向上に全振りしたような施策にも感じます。
「やらないことを決める」=「やることが明確になる」
このようにも聞こえます。
ここで修行を積んでいった職人の力で、5代目の事業展開に結びついたようなのですが、丁寧に積んでいった技術は、いろいろな形に展開できるんだなと感じます。
鋳物屋がブライダル業も突飛ではない
「鋳物屋がブライダル事業を始めました」
これだけを聞くと、新規事業欲しさにバクチに出たと感じてしまいます。
この本を読むと、ここに至るまでには、それ相応の流れがあり、お客さんの小さな話を真剣に取り上げた結果を積んで行った結果で、突飛な話ではないことがわかります。
工場見学から、多くの人にゆっくりみてもらいたくてカフェを併設し、その中で出てきたニーズがブライダル事業で、ブライダル業社と連携したパッケージを販売して・・・のような感じで事業の幅を増やしてきたようです。
ユーザーの意見を聞く空間を作って、出てきた話を真剣に考えて、小さくても手探りでもアクションを起こして、自社以外を巻き込みながら可能性を広げていく。
このやり方は、基本的なものなのだと思いますが、実際には簡単にやれそうで、でも、やれる人はそういない。
基本的で普遍的なことは強いなと感じました。
終わりに
この本は
事業の多角化の話でもあって、
事業の拡大の話でもあって、
事業継承の話でもあります。
一見、国内では斜陽産業のようにも見える「鋳物」という業界なのですが、決して突飛なギャンブルに勝った話ではなく、つながりがきちんとあって、丁寧に仕事を進めていった結果が、今の多角化した姿になっていることが、本当に凄いです。
今の事業に頭打ちを感じている人には、一読の価値があります。
ではでは。