「金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿」を読んでみました。
この本ってどんな本?
財務省(旧大蔵省)金融庁のキャリアの佐々木清隆さんが、1984年から2019年頃までに、実際に携わった経済事件や、経済の流れなどを、事件簿という枠組みで書かれた本です。近代の日本国内で起きた経済事件などが、時代の流れとともに複雑化していく様子や、監理を行う行政サイドがそれらに対応するために、枠組みなどを変えていく様子も見ることができます。日本の代表的な近代の経済事件がわかる本です。
この本をオススメしたい方は?
・日本の近代経済史を知りたい方
・環境の進化によって、経済事件が複雑化していく様子を知りたい方
・財務金融関係の省庁の雰囲気の一端を知りたい方
この本のざっくり紹介
|バブル崩壊の原因の一端|
この本で描かれている時代は、バブル景気が頂点に達し、そこから崩壊していくあたりから始まります。このあたりで起きたのが証券会社の損失補填問題で、当時は「損失補填」という言葉が一人歩きしていて、詳しいことは分からないままだったのですが、この本を読んでようやく概要がつかめた気がします。
バブル崩壊のきっかけの一つとされている、角谷通達と言われるものの存在も初めて知りました。バブル崩壊については色々な説明を受けてきた気がするのですが、今回、少しこのあたりがクリアになりました。本当にバブル崩壊って、なんでそうなったが難しいなと思います。毎回この手の書物を読むと、本によって色々なことが語られるのですが、この本でその一端が学べました。
|金融省庁とライブドア|
当時よく分からなかった経済事件として、ライブドアのフジテレビ買収の動きがあったのですが、これもよくわからない事件の一つで、株式の分割、株式の交換、これらの単語を当時ニュースでよく聞いていたのですが、この本で少しスッキリしました。ただ、傷害事件のように明らかに、「悪い」がはっきりしていなくて、なんとなくグレーっぽいのも、この時代あたりからの経済事件の特徴のような気がします。
また、金融省庁の目線でこの事件が描かれており、金融省庁の混乱ぶりがリアルに描かれています。この時期から経済に関する技術と情報スピードが一気に上がって(インターネットの影響が大きいと思いますが)対応するための、ルールの整備や、内部組織の創設、権限や役割などの設定、さらに機能しているか?などなど、金融省庁は大変だなと思います。
|仮想通貨までくると・・・|
この本の主人公の、佐々木清隆さんが最後に扱ったのが仮想通貨なのですが、このあたりまでくると、正直、複雑すぎて何が行われているのかが、よく分からない状況です。最初の事件簿の証券会社の損失補填のくだりが牧歌的に見えてきます。30年くらいの期間で急激に進化したなーと感じます。
ページ数と読みやすさのイメージ
300ページ強くらいの内容です。
3〜4日程度で読み終えることができると思います。
40代後半から上の世代は、この本に書かれている出来事は、全てが記憶にある事件ばかりなので、当時を思い出しながら読み進めることができると思います。20代が読むと前半の事件は、謎の事件に見えるかもしれません。面白かったです。ではでは。