「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」を読んでみました。
この本ってどんな本?
日本の経営界の話題を、ある時期かっさらったカルロス・ゴーンさんが、幼少期から日産自動車の社長になり、日本で逮捕されて、そこから日本をどのように脱出して、その後どうなっていったのかが書かれた本です。
この事件は色々な視点で語られるので、幾つかの情報を自分で組み合わせながら、こんな感じなのかなと思いながらいたのですが、この本はフランスのジャーナリストの2人が執筆されていて、取材量がスゴイです。中立性の高い視点で書かれた本かなと思います。
細かく取材を重ねた内容となっていますが、当時の報道では見えていなかった事実がいくつも出てきます。一世を風靡した、カルロス・ゴーンさんがどのように動いてきたのかが、この本である程度つかめるのではないかと思います。
この本をオススメしたい方は?
・カルロス・ゴーンさんのビジネスキャリアに興味のある方
・カルロス・ゴーンさんの逮捕、国外脱出、どうなっていたのか?知りたい方
・大きな権力を持った人の行動について興味のある方
この本のざっくり紹介
|カルロス・ゴーン氏の半生史|
ゴーンさんが日本国内のビジネス界を一世風靡した頃、日産自動車を復活させた有名経営者として、たくさんの書籍が出たのですが、あの頃を知る一人としては、あの逮捕のニュースは、衝撃的な出来事でした。
この本では、ゴーンさんが幼少期から始まり、どのようなキャリアを積んで、日産やルノーの社長になっていったのか、その後もビジネスの幅を広げていったのかという、ビジネスマンとしては絶頂を迎えるターンがあり、その後、どんどんキャリアに陰りが出始め、逮捕や裁判に進んでいくのかが、細かい取材をもとに書かれています。
|高額報酬を払っていれば?|
現在の世界のスーパー経営者の方の報酬は、私のイメージがつかないくらいの高額をもらっていますが、当時の日本では、社会に対するイメージの問題で、高額報酬を支払うのが難しかったイメージがあります。当時から高額であっても支払っていれば、この逮捕劇に繋がらなかったのかな?と感じました。
この本では、どんどんキャリアに陰りが出始める頃と同じ時期に、わかりやすいものでは、会社所有のプライベートジェットやクルーザーなどの私的利用、会社の経費で個人的なものを賄っていく様子が描かれています。
|どこまで自分を律せるのか?|
このあたりは考えさせられる部分で、この本でのゴーンさんの行動はアウトだと思うのですが、全ての出来事が100%公私で分けられるものでもないと思うのです。例えば、会社の経費を考えれば電車を使うべきところを、疲れたからタクシーを使ってしまうとか、自分のための比率が上がりすぎると、この本のゴーンさんのようになってしまう・・・特に大きな権力を手にした場合、どこまで自分を律することができるのか?考えさせられました。
こういったことの防止策として、先日、NET FLIXの企業統治の本を読んだのですが、その中で基本原則は「NET FLIXの利益を最優先として行動する」があり、それが徹底されるのであれば、今回のような間違いも起きにくいのかなと感じました。
ページ数と読みやすさのイメージ
300ページくらいの内容です。
情報量が多い本なので、読了までにはある程度時間がかかると思います。40代以上は記憶に残っている出来事なので、当時を思い出しながら読む感じになります。
この本には多くの人が、特に外国の方がたくさん出てきます。私の本を読むスピードが落ちる要因の一つなのですが、外国の方の名前がたくさん出てくると、登場人物が頭に入ってきにくくなり、理解スピードが激減します。
同じような傾向のある人は「この人はどこで出てきたんだっけ?」という状況が出てきますので、そのあたりは覚悟をしてから読み始めることをお勧めします。
内容としては、当時を改めて知る貴重な本でした。
ではでは。