「湖池屋のポテトチップス」美味しいですよね。
ちょっと高級感があって、お菓子の中でも食事に近い、しっかりとした食べ物っていうイメージです。
でも正直、昔はポテトチップスというよりは「カラムーチョ」の会社のイメージでした。
でもある時から、本格的なポテトチップスメーカーに変わった印象があります。
この変化は、2017年に本格的なポテトチップス「プライドポテト」を販売するようになってからなのだとか、キリンビバレッジの社長をやめて、湖池屋の社長となった佐藤さん(NHKのプロフェッショナルに出演してました)が、企業イメージから商品までを見直した結果なのだとか。
湖池屋は1953年の創業なのだそうで、老舗メーカーの一つだと思いますが、この歴史と商品をうまく組み合わせて、今の湖池屋のイメージを作った手腕はすごいの一言です。
創業は古くても、うまく商品に組み合わせることができない会社は多いと思いますが、この本にはそのヒントがあるかもしれません。
企業と商品について考えてみる一冊です。
あと、湖池屋ファンにもお勧めです。
目次
第1章_創業者の精神に学べ
第2章_日本のじゃがいもしか使わない
「湖池屋プライドポテト」開発秘話
第3章_つくるのではなく、醸し出す
第4章_職人技で難題に挑む
第5章_ナンバー2だからこその挑戦
第6章_スナックで日本を元気にしたい
この本の内容拾い読み
湖池屋プライドポテト
停滞していた湖池屋を復活させるために、社員の意識を改革するために「一品」を作ることを社員に訴えます。この一品には国産材料にこだわり、製造技術にこだわり、高品質の拠り所にするなどの、高い理想のコンセプトをポテトチップスに込めることを決めて、ハイブランドのポテトチップスを作ることを決めます。
創業者は、ポテトチップスは料理に近く、料理を作るような感覚でポテトチップスを作ってきたという言葉を残していたそうです。
消費者インタビューをしてみると、今まで食べてきたポテトチップスの人気の味は、トップが塩で、次がのりしおで、コンソメ、バター、醤油の順番。
その中でも「のりしお」は、湖池屋の創業者が初めて辿り着いた味だそうで、今回のハイブランドのポテトチップスの味を「のりしお」に決めてからは、改めて、のりの種類や技術や油などのテストを繰り返したそうです。
そうして出来上がってきた商品は、試食も好調で商品が完成しつつある中で、一番の懸念は価格で、プレミアム路線を進めている以上、また他社との価格競争に巻き込まれないためにも、価格では妥協できなかったようで、他社より高めの設定での販売を決定。
結果として、この湖池屋プライドポテトは、年間20億円を売り上げればヒットとよばれるスナック市場で、年間40億を売る結果を出したとのこと。
まあ美味しいですものね。
メガヒットが出にくい時代
Brandon BolenderによるPixabayからの画像
昔は、たとえ瞬間風速のブームだったとしても、メガヒット商品というものが食べ物の世界でも、それ以外の分野でも、結構あったのですが、近年は話題性はあったとしても、メガヒット商品と言われるくらい、熱狂的な売り上げを記録する商品というものが、ものすごく減ったという印象があります。
この本では、その理由をメディアがたくさん増えたことにより、どんなコンテンツでも世の中を席巻するようなメガヒットを出すことは、これからの時代においては、情報が分散されてしまって、難しいと分析しています。
こうした世の中への対策の一つとして、人口の減り続けている日本では、熱烈なファンと長く付き合っていくと言うLVT(生涯顧客価値)という考え方が重要としています。
湖池屋の例でいうと、お客さんが望んでいるものの一つは、じゃがいもの美味さを味わいたいと言うことだそうで、実際に看板商品の「のりしお」味のポテトチップスは、ブレることなくコンスタントに売れ続けているのだそうです。
ヒット商品を作ることは大事ですし、どの会社においても狙う領域なのでしょうが、極端にメガヒット商品一発を狙いにいく戦略は、これからは効率が悪い方法なのかもしれません。
終わりに
このブログを書くにあたり、改めて湖池屋の「のりしお」を食べてみました。塩味のポテトチップスも捨てがたいのですが、やはり「のりしお」は美味いです。
会社の歴史を商品や商売にうまく結び付けることは難しいことですが、湖池屋は会社の歴史を貴重な資源として、生かし切ったパターンだと感じます。
それらを生かし切ったマーケターの重要性を再認識しました。
ではでは。