【独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか 徹底解説:ウクライナ戦争の深層】池上彰が見る現代社会。中国・ロシア・ウクライナ

ロシアによるウクライナ侵攻のニュースは、驚きのニュースでした。
現代社会でこんなことが起きるの?
と正直目を疑った記憶があります。

この本は池上彰さんが連載していたコラムをまとめたもので、このコラムは今回のウクライナ侵攻の数年前から続けていたもので、以前から不穏な動きがあった内容が書かれています。

池上彰さんは、侵攻まではしないだろうと当時のコラムには書かれていたのですが、実際に侵攻があってからのコラムも掲載されていて、池上さんが唖然とした様子も書かれており、当時の驚きが伝わってくる内容になっています。

ある意味、池上さんのロシアや中国を、数年にかけて行った、定点観測のような一冊です。
今読む一冊だと思います。
そして、大抵の本よりも『圧倒的』に分かりやすいです。

 

この本の内容拾い読み

SWIFT?から排除?

今回のウクライナ侵攻を受けて、日本や欧米各国が「ロシアをSWIFTから排除する」とあったのですが、「SWIFT」聞きなれない言葉です。

SWIFT
日本語では「国際銀行間通信協会」と訳され、本部はベルギーのブリュッセルにあり、公的機関ではなく、世界の金融機関の協同組合のようなもので、200以上の国と地域から11000以上の金融機関が加盟している、国際的な送金ネットワークのこと。

昔はネットワークが未発達だったこともあり、FAXで国際間の金額のやり取りの情報を伝えていたそうですが、現在では額もスピードも当時とは比べ物にはならないので、このSWIFTを使ったデータ通信になっているとのこと。

ロシアの天然資源を買おうとしても、SWIFT以外の方法で、お金についての情報をどうにか伝えるしかないのですが、実際には難しくて、信用面やスピードからいっても、SWIFTからの排除ということは、ほぼ経済制裁を与えている状態と同様になるのだそうです。

結果として、ロシアのルーブルがほぼ国際的に使えなくなっているので、世界的にルーブルの価値が下がっているそうです。
お金のやり取りがしづらい通貨になってしまっているので、当然なのでしょうが・・・

ロシアの中央銀行は、万が一のためにと、自国通貨の価値を安定させるために、大量のドルを保有していて、それを日本やアメリカに預金していたそうなのですが、今回のウクライナ侵攻を受けて、日本やアメリカはロシアの預金凍結を行っているそうなので、結局、預金した大量のドルが引き出せずといった状態で、ロシアに対して経済的なプレッシャーを与え続けている状態なのだとか。

 

クリミア半島の近代史

今回のウクライナ侵攻で、地図を目にする機会が増えたクリミア半島ですが、改めて見るとなかなかの要所です。

このクリミア半島は、黒海にポツンと突き出た形で、この黒海はロシア、ウクライナ、ジョージア、ブルガリア、トルコ、ルーマニア、モルドバと多くの国に接していて、イスタンブールを通過すれば、地中海にも繋がるという、海運上便利な海で、便利な反面、国同士の争いが起きない訳がないとも思えるような密集ぶりです。

近代史では、クリミア半島を巡る争いが多発していて、1853年にロシアとイギリス、フランスがクリミア戦争を始めています。ちなみにナイチンゲールはこの戦争で負傷兵の看護にあたったことで、有名になっています。

クリミア戦争では、イギリス、フランスが勝利したのですが、近代史上でのクリミア戦争は激動の歴史です。

クリミア半島の近代史
・1853年クリミア戦争で、イギリス、フランスが勝利。
・1917年にロシアが占拠。
・第二次世界大戦ではドイツが占拠。
・ソ連時代の1954年にロシア領からウクライナ領に移管。
・ソ連崩壊後の2014年にはクリミアがロシアに占拠。

そして現在に至るといったことになります。

 

中国共産党の100年

共産圏のロシアと中国、この中国が2021年に中国共産党創設100周年を迎えています。

近代史でロシアが色々とあった中で、中国も現在の姿になるまでに、近代に色々なことが起きています。

韓国の西側の海を渡って、中国の陸地が飛び出ている部分が山東半島なのですが、第一次世界大戦ののちに、ドイツから日本に引き渡されたことで、中国の若者が怒り、抗議運動を起こします。

その後、ロシア共産党が世界各地で支部を作る中で、中国にも共産党の支部ができて、毛沢東を中心としたゲリラ活動が始まります。

1937年に日中戦争が始まると、国民党と共同で日本と戦い日本に勝利したのちに、1945年に毛沢東率いる共産党と国民党の内戦が始まり、1949年に北京の天安門で毛沢東が、中華人民共和国の建国を宣言します。

そして追われた国民党がたどり着いたのは台湾になります。
中国は台湾奪取が悲願と聞きますが、これからの歴史がどうなるのか。

 

終わりに

2022年の3月3日の池上さんのコラムで、「まさか21世紀の現代のヨーロッパで、第二次世界大戦以来の侵略戦争が起きるとは」との一文があります。

この本に掲載されていますが、それ以前のコラムを見ても、
「緊張感が高まっている」
「軍備配備を進めている」
「戦争がいつ始まってもおかしくない」

という情報を池上さんは持っていて、文章を書かれていたにもかかわらず、それでも「まさか」だったんだなというくらい、現代ヨーロッパで侵略戦争が起きるとは・・・・想像を超えてきたというところなのでしょうか。

今も続いているウクライナ侵攻ですが、どういう歴史をたどって今に至るのかを、再確認できる本だなと思います。

間違いなく分かりやすいです。

ではでは。

 

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