日本の総理大臣で今でも語り継がれる「田中角栄」
ロッキード事件の田中角栄は「本当に有罪だったのか?」
時代が流れても、この総理大臣を象徴するワードがいくつも記憶に残っています。
「中学卒業での総理大臣」
「日本列島改造論」
「中国との国交正常化」
そして
「ロッキード事件」
ロッキード事件は、田中角栄が亡くなるまで裁判が終わらなかった事件で、戦後の政治史の中でミステリアスな事件でもあります。
いまだに真相がわかっていないとも言われる事件で、今でもたまにメディアで特集が組まれたりもするのですが、なぜここまでよくわからないことが多い事件なのか?
この本は、「田中角栄はロッキードに関与していなかったのではないか?」といった視点でさまざまな角度からロッキード事件を考察していったものです。
田中角栄元総理が、逮捕されたのが1976年で、今は2024年。
当時を知る関係者の多くが亡くなられているの現在、ロッキード事件を再検証するために、存命中の関係者へのインタビュー、書籍、文章などをもとに、当時一体何が行われていたのかを分析しています。
この事件、とにかく複雑です。田中角栄がロッキードから金銭を受け取ったかどうか?だけを追っていると真相が見えない事件ということが、この本を読むと分かってきます。
ロッキード事件をしっかりと理解するための一冊です。
600ページ超えの読み応えのある一冊です。
目次
第1章_アメリカから飛んできた疑獄
第2章_政治の天才の誕生
第3章_金権政治の烙印
第4章_トライスター請託の不可解
第5章_五億円とは何だったのか
第6章_裁判所の不実
第7章_吉永祐介の突破力
第8章_毒を喰らった男
第9章_もう一つの疑惑
第10章_児玉誉士夫という生き方
第11章_対潜哨戒機
第12章_白紙還元の謎
第13章_”MOMIKESE”と訴えた男
第14章_角栄はなぜ葬られたのか
終章_残された疑惑
この本の内容拾い読み
現代に起きた事件だったら・・・
Gerd AltmannによるPixabayからの画像
この本を読むと、1970年代の日本と2024年の日本では社会状況がかなり違うようです。当時の世論は、田中総理誕生のときは日本中が田中総理に熱狂していた様子が伝わってきますが、ロッキード事件がオープンになると、一転、日本中からバッシングを受けている様子が描かれています。
異常に熱狂した人気が一気に反転してしまう、このあたりは、現代日本でも起きうる現象のような気もしますが、当時と違うのがメディアの種類と数です。
当時はテレビとラジオのニュースと新聞が大半の情報源といった状態なので、一方的な見方であったり、言葉が足りなかったりすると、世論をある程度誘導することもできたのかなと思われる部分があります。
それに比べると現代はメディアの数も種類も多く、情報も多様な角度から分析していることから、現代であれば状況は違ってくるかなと、この本を読むと感じます。
当時を知る関係者の大半がこの世を去ったことで、この事件はこの先も解決することはなく、ミステリーのままなんだろうなという気がしてきます。
現代に起きた事件ならば・・と考えてしまいますが・・・・
この本はロッキード事件の真相を探ると同時に、メディアの多様性や、メディアの公平性の重要さを訴えてるようにも見えます。
終わりに
とにかく読み応えのある一冊です。
ノンフィクションの体裁はとっていますが、推理小説に近い印象を受けます。
読むとわかるのですが、疑い始めればキリがないですが、疑わずにはいられない状況があまりにも多いです。
ロッキード事件に少しでも興味のある方には、一読をお勧めします。
ではでは。