「教養としてのアート 投資としてのアート」を読んでみました。
この本ってどんな本?
現代アートとは一体どのようなものなのか?現代アートのマーケットとはどうなっているのか?国内マーケットと世界のマーケットの違い、アートを投資とするための考え方や、作品との出会い方など、アートを楽しむと同時に、現代アートは投資商品であるという観点で書かれた本です。
巻末にアーチストの紹介がありますが、個別の作品の紹介や、個別のアートについて解説したものではありません。現代アートの世界がどうなっているのかというテーマに特化した内容です。
この本をオススメしたい方は?
・現代アートの売買の現状を知りたい方
・投資としての現代アートとの付き合い方を知りたい方
・現代アート作家を目指す方
この本のざっくり紹介
|現代アートって、いったい何?|
よく分からない現代アートの世界。
私の中の現代アートは「訳のわからないもの」で、相当なこの世界の教養が無いと理解ができないんだろうなと思っていました。
著者の方は現代アートの売買を行うギャラリーを経営されているのですが、その方いわく、「現代のアート作品は謎解きパズルのようなものが多く、作家が伝えたいことが一瞬でわかりづらいものが少なくない」とのこと。プロでさえ分からないのであれば素人が分からなくても、問題なさそうです。少しホッとしました。
なぜ、そんなことになっているのかというのは、本書では、あの便器にサインを入れた作品『泉』で有名な、マルセル・デュシャン以降、新しいコンセプトを作る競争が始まり、作品をコンセプトで表現することが、現代アートでは重要になったとのこと。目で鑑賞する美しさよりもコンセプトのおもしろさが重要になったとのこと。
しかし・・・コンセプトの面白さが価値になるとは・・・私の中では、いまだに不思議な世界です。
|プライマリーとセカンダリー・マーケット|
現代アートのマーケットを理解する上で、プライマリー・マーケットと、セカンダリー・マーケットという市場があるそうで、ざっくりのイメージは、プライマリー・マーケットは、一次作品で主にギャラリーが販売するもので、セカンダリー・マーケットは二次市場で、主にオークションで落札するものなのだそうです。
ただし、現代ではアートの投資が加熱していて、プライマリーの時点で、オークションにかけられるケースもあるとのこと。
なんとなく加熱の歯止めが効かない印象を持ちました。
|海外マーケットの世界|
バブル崩壊以後、日本のマーケットは小さなものになってしまったそうですが、海外マーケットは加熱状況にあるそうです。世界最大のギャラリーの、ガゴシアン・ギャラリーは一年間で1000億円を超えるとのことで、このようなメガギャラリーで扱われるアートは、セカンダリーでも価格が落ちないそうで、結果として現代アートが資産ポートフォリオとして計算できるようになっているとのこと。
資産ポートフォリオは現金や株などを組み合わせるイメージなのですが、そこにアートが入ってくるというのは、私にが理解が難しいです。実際にメガギャラリーでは、プライマリーの価格以上に買取る資金力を備えているとのことで、そこがアートを資産と計算できる根拠となっているそうなのですが、素人が簡単に手を出せる世界ではないなと感じました。
|現代アートのこれから|
コンセプト勝負の現代アートなのですが、大衆化、民衆化、の流れがあるそうで、美術界の一般論は、「売れるからといって、必ずしも良い作品ではない」だそうなのですが、「売れる作品こそが、良い作品」になりつつあると筆者は感じているそうで、現代アートを作る作家さんは、業界の流れを読みながら作品を作っていく必要がありそうです。
私の中で、現代アートのアーチストさんは、芸術作家さんであって、自分の世界観を形にしていく人のことで、売れる作品を追求していくと、だんだんと芸術家と商業デザイナーの垣根が無くなっていくような気がします。
もう少しこの世界を知りたくなってきました。
ページ数と読みやすさのイメージ
250ページ弱くらいの内容です。
2〜3日程度で、読み終えることができると思います。
現代アートの世界を感じられる内容です。この本には掲載されていない、個別の作品に関する本も読みたいなと思いました。
ではでは。