【日本の有名会社の事業継承集】創業家一族

「創業家一族」を読んでみました。

この本ってどんな本?

日本を代表する企業の創業の様子と、創業家一族との関係を取材した内容が書かれた本です。
この本は44の企業が題材となっており、本のタイトルのように、主に現在まで創業家が経営に関わっている企業が中心となっています。

記憶に新しい、大塚家具の親子での事業継承の件や、ユニクロやニトリなどの絶好調企業の今など、身近な企業が比較的多くイメージしやすい内容になっています。

有名企業の創業時の様子や、どのようなやり方で成長したのか、どのような社会ニーズがあったのか。日本企業の歴史を知る上でも、面白い記録本だなと思います。

現在の様子として書かれている内容は、2019年頃までの記録となっています。現在2022年ですので、さらにコロナ禍を経てどうなっているのかをネット等でチェックしながら読むと、さらに楽しめます。この2〜3年で、結構状況が変わった企業も出てきています。

創業家一族 [ 有森隆 ]

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この本をオススメしたい方は?

・日本を代表する企業の成り立ちを知りたい方
・創業家と企業の関わりや、企業内情に興味がある方
・創業家の経営が続くことが、良いのか悪いのか?というテーマに興味がある方

この本のポイントなどなど

創業家が経営を続けるのは、良いのか悪いのか?
この本は、創業から現在まで、創業家が企業経営に関わっている、俗にいう同族企業ですが、そういった企業の中で、日本を代表する44の企業について、取材した内容になっています。各企業の家系図が冒頭に掲載されていて、中にはビッグネームだらけの家系図もあり、家系図だけを見ていっても、面白い内容になっています。

世襲を伴う同族企業のイメージは、近代的な経営からは遠いイメージがあります。日本人は特にですが、江戸時代までの歴史は、権力者の世襲の歴史でもあるので、なお一層といったところですが・・・・

以前、外国資本の企業買収のファンドが、日本企業を買収するケースが相次いだ時代がありましたが、その時に同族企業は旧的で健全ではないというコメントを、買収を狙うファンドマネージャーが口にしていたのを思い出します。
今思えば創業家が株式の多くを保有しているケースが多かったので、企業買収が進みにくいことによる、ファンドマネージャーたちの苛立ちもあったような気がします。

当時の私は、国際化が進んでいく世の中なので、近代的な方が良いんだよなーと、イメージだけで考えていたのですが、この本を読むと創業家が企業経営に関わり続けるケースが、良くないことのようにイメージされるのは、一方的すぎるのでは?と考えさせられます。

本書に出てきますが、創業家一族に絞った投資ファンド「東京海上・ジャパンオーナーズ株式オープン」が2018年の世界的な株式の落ち込みの中でも、プラスの成績を出したそうで、安定的な力を発揮しやすい形の一つなのかな?と感じました。

創業社長からバトンを受け継ぐのはどこも大変
この日本を代表する44の企業は、いずれも大企業ですので、長い時間をかけて大きくなっているのですが、その中で創業社長から経営を受け継ぐことになるのですが、大抵の企業でこの部分が本当に大変そうです。

ユニクロのファーストリテイリングや、ニトリなどの創業者が今も頑張っているパターンの企業は、この本では「終身社長型」に分類されているのですが、このタイプは、いずれこれから、初めての継承をしなければならなくなるのですが、果たして創業者の眼鏡に叶う後継者にたどり着けるのか、興味深いです。

この本のタイトル通り、創業家で事業継承を行うケースの会社が紹介されているのですが、波風なく事業継承がなされて、創業者以上に成長するケースは本当に少ないです。

創業家が創業家所有の株式の管理会社を経営して、事業の本体は内部昇格で社長の座に着いていく会社もたくさん紹介されているのですが、どこかのタイミングで大政奉還を狙ったり、担ぎ出されたりするケースも多く、綺麗にすんなりと、創業家と企業が無関係になるのは、難しいんだなと感じました。

創業社長が自分の子息や親族を入社させない方針を打ち出す会社を聞くことがありますが、そのぐらいの宣言をしないと中途半端になりがちなんだなと、この44社の事例を見ると思います。

ですが、この問題で厄介なのが、創業家が完全に離れることが、歴史的に最適解なのであればいいのですが、必ずしもそうではなく、武士の時代のように、血縁者が継ぐことで、旗印としての役割を果たした方が、社内が安定するケースが存在するのも事実なので、頭を悩ませるんだなと思います。

この本の読みやすさのイメージ

550ページくらいの内容です。
一週間は、かかると思っておいたほうが無難です。

ものすごい取材の量で出来上がっている本です。ページ数も圧倒的ですが、内容はさらに圧倒的です。
簡単にまとめているとはいえ、日本を代表する企業の一代記を、44社分書かれているので、読むのに時間がかかると思います。

44個のお話を読む感覚なので、飽きることは無かったです。冒頭でも触れましたが、2022年の今、どうなっているのかが気になるので、私はネット検索をしながらの読書となりました。

構成上ちょこちょこと読むスタイルでも問題無いかなと思います。面白かったです。

ではでは。

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