西洋絵画から現代アート、絵画に馴染みのない人にとっては、正直言って「よくわからない世界」
1300年くらいのレオナルドダヴィンチが活躍したルネサンス時代に描かれた絵は、なんで今も大事にされているのか?
特に現代アートに関しては、何を表現しているのかさっぱりわからない。
この本は世界史の移り変わりとともに、芸術分野も変わっていって、現代アートと呼ばれるものにも、そこにたどり着くための歴史の流れがあって、絵画とは直接関係なさそうな世界史の流れからも、多大な影響を受けているとしています。
絵画からみた世界史を見ることで、西洋絵画の見方が変わってきます。
絵画好きにも世界史好きにも読み応えのある一冊です。
目次
第1章_近世(古典絵画)
1幕_ルネッサンス
2幕_バロック・ロココ
3幕_17世紀オランダ絵画と新古典主義
第2章_近代
4幕_ロマン主義・写実主義
5幕_印象主義とポスト印象主義
6幕_世紀末芸術
7幕_キュビズム・フォーヴィスム・表現主義
第3章_現代
8幕_ダダとシュルレアリスム
9幕_抽象表現主義とその後
この本の内容拾い読み
ルネサンスと芸術
ルネサンスはイタリアが始まりで、当時はイタリアという国家は無く、イタリアという地域に商業活動を基盤に発展した都市国家が、分立していたのだそうです。
この商工業者中心の国家が、芸術に必要な「自由」と「カネ」を準備したことで発展し、パトロンとして有名なのはフィレンツェのメディチ家で、この「自由」と「カネ」を背景に活躍したのが、レオナルドダヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロの3人とのこと。
この時代の絵は、とにかく緻密。
そして描かれている体の姿形が理想を求めている感じ。
ルネサンス以前からあった、絵は写実的なものを追求するスタンスから、「自由」の要素が入り込み、理想的な美を追求するようになったのだそう。
「自由」にお金を出すパトロンの存在が重要だったようです。
印象主義を産んだ二大革命
ここまでの絵画は、設定やモチーフに想像の部分が入っていても、比較的線がクリアな写実的な絵なのですが、モネの睡蓮に代表される印象派が出てくると、ここからの西洋絵画の代表作は一気に、素人が見ても「何を描いているの?」状態の絵が増えてきます。
この頃の絵画を大きく変えた二大革命が、写真の登場(1827年)と、チューブ入り絵の具(1841年)の登場なのだそうです。
写真が写実的な絵の価値の意味を問われることになり、チューブ入り絵の具が屋外で現物を見ながら着色ができるようになったことで、陽の当たり方などで変わっていく風景をどこで切り取るかを真剣に考える必要に迫られたとのこと。
そこから先はピカソに代表されるような、写実とは遠い世界の絵が増えてきます。
難しくないですか?現代アート
現代アートは、第一次世界大戦以降を指すようですが、この現代アートは多様性を認める価値観とともに発展しているとのこと。
🔳この本での現代アートとは
現代アートの目的は「創造」ー「思考」が基盤
現代アートの条件は、アートに関わる人々が、アートの歴史や理論をもとに「アート」と認定していること。
現代アートの代表作家として、アンディ・ウォーホルとかデュシャンなどがいますが、重要なのは「アートに関わる人々が、アートの歴史や理論をもとに「アート」と認定している」の部分のような気がします。
この部分は理解度の問題でもあるので、ここが素人と玄人を分ける判断基準なのでしょうが、素人には難しいです。
若干、お笑いの大喜利感がある気がします。
終わりに
西洋絵画の本は、各時代の代表絵画を繋いだもの、もしくは、ある時点の絵画を集めたものがほとんどだと思います。
この本は絵の時代背景と変化の様子が解説されているので、物語として理解しやすい内容になっています。
素人が西洋絵画を知る本としては、かなりわかりやすいです。
美術の授業とかで、教えて欲しかった内容です。
ではでは。