池上彰の世界の見方、フランス編です。
2024オリンピック開催地フランス
ルーヴル・オルセー美術館のフランス
美食やワインのフランス
フランスには、日本人は比較的ポジティブなイメージを持つことが多いような気がします。美術や食事などの文化レベルが高く、歴史も古く世界史を学ぶ上でも決して外すことのできない国です。
現代社会では、アメリカとは一定の距離を置いて、核兵器も保有し自国で自衛するスタンスを取り続けている、軍事大国の側面もあるのだそうです。
わかりやすくフランスを知る一冊です。
目次
第1章_フランスはどんな国か
第2章_ストライキと革命から見るフランス
第3章_ライシテ(政教分離)から見るフランス
第4章_移民問題から見るフランス
第5章_「教育のエリート主義」から見るフランス
第6章_軍事大国フランスの外交戦略
この本の内容拾い読み
「ライシテ」って?
WOKANDAPIXによるPixabayからの画像
「ライシテ」=政教分離または非宗教性
日本でも先進国でも政教分離になっていると思うのですが、フランスは徹底していて、イスラム系の女子学生が、ヒジャブというイスラム教のシンボルのスカーフを頭に巻いて登校しようとしたところ、校門に入ろうとしたら拒否されたという「スカーフ事件」というものが起きたそうです。
フランスはカトリックの国だから、他の宗教を狙い撃ちしたようにも思えるのですが、十字架が付いたロザリオを持ち込むのも同様に禁止されているのだとか。
教育の場からこのレベル。徹底していますね。
バカロレアって?
Pham Trung KienによるPixabayからの画像
バカロレア=フランスの高校卒業資格を取るための国家試験
高校卒業の資格に試験があるとは、なかなかに厳しい文化ですが、受かってしまえば基本的にはどこの大学にも入学できる仕組みなのだそうで、日本と比べてどっちがいいのか?このやり方は有名大学に学生が集中しそうな気がしますが、実際には学力レベルが合っていないと、大学で進級ができないので、あまり問題にはならないようです。
その中でもエリート集団の教育機関があって「グラン・ゼコール」という教育機関で、そこには入学試験が必要で、さらにその中にはENAという有名な学校があり、そこの定員は1学年80人程度で、そこの卒業生は政財界の要職についているとのこと。
しかし2022年に国民からの非難やデモなどが起きて、ENAは廃止されてINSPという教育機関ができたとのこと。どうなるのかは始まったばかりなので、経過を見ないとわからないようでうすが、日本の東大法学部卒のキャリア官僚に近い気がします。
ちなみに「国際バカロレア」というものがあって、こちらはスイスのジュネーブに本部がある別物になります。こちらは所定のプログラムと試験を受けて、所定の成績をおさめると国際バカロレア資格というものが手に入り、世界各地の大学に通用する入学資格になるのだそう。
世界で4番目の核保有国
フランスは核保有国としても知られていますが、核弾頭の保有数が世界4番目の290個なのだそうで、ロシアの5977個、アメリカの5428個、中国の350個に次ぐ保有数とのこと。
目的は米英ソと対等な立場を確保するためというのが大きな理由のようで、保有方法は原子力潜水艦に核ミサイルを積んで、有事の際に発射できる体制をとっているのだそう。
どの国も核兵器は抑止力としての位置付けで、実際の戦争で使用することはないのでしょうが、抑止力だとしても、どこまでを想定してこの数になったのか?ロシア、アメリカの5000超えは、意味がわかりません。
2023年の広島サミットで、各国が平和記念資料館を見たそうですが、どう感じたのか?使わない未来を共有できたのだといいのですが。
終わりに
とにかくわかりやすいこのシリーズ。
第16回目なのだそうですが、次回のアフリカ編で最終巻なのだそうです。
ニュースだけではよくわからないことも、こういう流れなのかと理解することができます。フランスの”今”を知ることのできる一冊です。
面白かったです。
ではでは。