「〇〇さんはセンスが無いね」
結構、辛辣な言葉ですが、働いているとこれに近い言葉は結構聞きます。
言われた側は「そんなことを言われる覚えはない」と思いながらも、
「センスは生まれ持った才能だから、仕方がないよな」とも思う人も多いはず。
この本は、「センスは生まれ持った才能ではない」としています。
著者はくまモンのデザインを行った、水野さんという方で、他にも宇多田ヒカルのCDジャケットや、大手企業のブランディングなども手掛けています。
幅広い分野で「センス」を求められている人が、「生まれ持った才能ではない」とするセンスの世界。センスという言葉の呪縛から逃れられる、きっかけの一冊になるかもしれません。
目次
Part 1_センスとは何かを定義する
Part 2_「センスのよさ」が、スキルとして求められている時代
Part 3_「センス」とは「知識」からはじまる。
Part 4_「センス」で仕事を最適化する
Part 5_「センス」を磨き、仕事力を向上させる
この本の内容拾い読み
センスの良し悪しの定義
「センスの良さ」=数値化できない事象の良し悪しを判断し最適化する能力
センスの良さは単純に数字で測れないもので、なのでセンスを語られる時は、センスの論拠が、あいまいになりがちです。
そして、「センスが良くなりたいのなら、まず普通を知る方がいい」を推奨しています。
普通とは「大多数の意見を知っていることでも、常識的であることでもなく、いいものが分かって、悪いものが分かって、その両方を知った上での”一番真ん中”が普通」と定義しています。
他人に語られる「センスの良し悪し」もどの定義なのか、意見を聞く場合にも自問自答したいところです。
センスは知識の集積
センスは知識を集積させることが重要だそうで、企画などを考える時に誰も見たことのないことを考えたくて「ひらめき」を待つ人よりは、「誰でも見たことのあるもの」の知識を蓄える方が重要としています。
そして蓄える知識に客観的な情報を入れるのが重要なのだそうです。
センスの最大の敵は思い込みであり、主観性で、思い込みと主観情報をいくら集めてもセンスは良くならないのだとか。
同時にセンスは時代の一歩先を読む能力も指すということで、一歩先を読むためには、この過去の知識に基づいて先を予測する必要があり、そういった意味でも情報収集と知識の集積は大事なのだそうです。
センスが知識の集積ということは
センスが知識の集積ということは、「感覚的にこれが良い」というロジックでは成立しないということになり、「感覚的にこれがいいと思うんです」は禁句としているのだそうです。
かっこいいいから、かわいいからといった漠然とした表現も禁句。
言葉で説明できないアウトプットはあり得ないのだそうです。
きちんと言葉で説明して、クライアントや消費者の心の奥底に眠っている知識と共鳴させるのが大事で、そのためにも知識とアウトプットの精度を上げることが大事なのだとか。
感覚的、かっこいい、かわいい・・・どれも使ってしまいます。実際・・・・
終わりに
判断基準のない「センス」という言葉を、ちゃんと理論的に分解してあるこの本は、驚きでした。
「センス」という言葉は、センスが無いと言われたら、センスの無い人のなってしまい、けれども納得もできないし、説明を受けることもできない不思議な言葉でした。
この本で解説された「センス」は充分に納得のいくもので、「センス」は感覚的なイメージがあるのに、感覚的という言葉は禁句ですらあるという内容には、勇気つけられます。
「センス」という言葉に振り回されてしまった経験のある人には、おすすめの本です。
ではでは。