浅草にある創業75年のパン屋さんのお話です。
商品は2種類のみで、食パンとロールパンの2種類のみ。
それだけで美味しそうなパン屋さんに聞こえます。
ただただ2種類のパンを焼き続けている老舗の街のパン屋のようにも見えますが、同じことをどこかで誰かが始めても、多分うまくいかないと思います。
でも、このパン屋さんは繁盛しています。
老舗が続いているには、続いているだけの理由があるようです。
この本は4代目の店主の方が、先代、先々代、関係者などから話を聞き、残っている記録などを整理して、この店の歴史をまとめ、そして今どんなことを考えて経営しているのか?
事業を続けていくためのヒント。
そんな雰囲気を感じられる一冊です。
この本にはペリカンのパンの写真がいくつか掲載されていて、色々な食べ方や、いろんな人のコラムなど、とにかくここのパンが食べたくなります。
本当に美味しそうなんです、ここのパン。
少なくとも食パンが食べたくなります。
これは間違い無いです。
目次
第1章_不思議なパン屋
第2章_ペリカンの歴史
第3章_おいしさのひみつ
第4章_浅草とパン
第5章_100歳のペリカン
第6章_ペリカンとわたし
第7章_ペリカンを食べる
この本の内容拾い読み
1日に作るパンの数は違う
Frank OschatzによるPixabayからの画像
パンには売れる時期と、そうで無い時期があるのだそうです。
パンは主食系の食べ物で、ペリカンは惣菜パンを扱っていないので、1日に作るパンの数は完全に安定しているものだと思っていたのですが、調整しているとのこと。
パンの売れ行きが厳しい季節は「夏」あとは「雨・雪・嵐の日」なのだそうで、わからなくもないのですが、微妙な世界です。
パンがよく売れるのは、「春と年末」。
ヤマザキもパスコもフジパンも第一パンも、言われてみれば、春はなんかしらのキャンペーンをやっているイメージですよね。
大手メーカーが、毎年キャンペーンをやっているからそう思うのか?理由は分かりませんが、パンが食べたくなるのは、なんとなく春が多い気がします。
パンの値段
パンの値段というものはデリケートなものなのだそうです。
町のパン屋さんというのは、薄利多売で値段を安くしすぎて安っぽいイメージがついてしまうとダメなようなのです。
値段で勝負するとコンビニのパンに必ず負けるそうです。
今の時代は、それなりのお金は頂き、その価値がちゃんと感じられるるものを提供できないと、町のパン屋さんは成立しない時代なのだとか。
パンの値上げのタイミングは、ヤマザキパンが値上げをした時が、値段の上げどきなのだそうで、日本のパンの消費量の約7割がヤマザキパンということで、業界のボスが値上げをするときがタイミングなのだとか。
終わりに
パン屋さんの経営、特にペリカンのようなほぼ単一種のパンの製造と販売のかたちを取っていることのリスクは大きいようです。
かといって種類が多ければいいのか?というとそうでもないようで、客層や価格設定やイメージ戦略など、色々な要素が噛み合わないと成立しない、微妙なハンドリングが必要な商売のようです。
ここ数年、食パン専門店が増えましたが、店を畳んでいる数もそれなりにあります。パンが美味しそうな本でもありますが、町のパン屋さんの経営の難しさも感じられる、考えさせられる一冊です。
ではでは。