謎の職業の一つ「画家」
絵を描いて売って、その売上で食べていくというのはわかるのですが、
そんなに絵って買わないですよね?
周りに聞いても、なかなか絵を買って、自宅に飾るということをしている人を、ほぼ聞いたことがありません。
でも、世の中に画家という職業を選択している人は、たくさんいるはずなんです。
毎年、どこの美大も狭き門ですし、美大を出ていない人でも、画家という職業を志す人はいるはずで・・・
だとすると国内には一体どれだけの画家さんが?
どう考えても画家さんという職業で、食べていける人というのは、国内では数えるくらいのような気がします。
普通に考えても画家で生計を立てていくのは、相当難しいとしか思えません。
この本は現役の画家さんで、画廊に販売を任せることなく、自分で絵を描き自分で販売し、生計を立てている方です。
いったいどういう方法で、自分の力で画家という職業を成立させているのか?その手法や考え方を一冊の本にまとめたものになっています。
画家という世界を見てみたい。
自分の作品を自分で売るという方法を知りたい。
画家として生きていく考え方を知りたい。
こんな方におすすめの一冊です。
目次
天の章_活動の基礎となる心について
・1_専業で活動できる作家を目指してほしい。
・2_自信をもって踏み切ること
地の章_お金のこと
・1_絵を描き続けるためにー必要な基盤と考え方ー
・2_見ず知らずの方でも作品を求めるということ
・3_絵の値付けの考え方
・4_注文を受けやすくする
・5_収入を増やすための活動の拡大
・6_作品の原価について考える
人の章
・1_「自分のお客さん」を作る
・2_接客に関すること
・3_お客さんを獲得するための考え方と工夫
・4_目標は「自分の特別なお客さん」30人
この本の内容拾い読み
「専業」画家のススメ
この方は自分の人生をかなり綿密にシュミレーションをしています。
初め絵を描き続けながらサラリーマンになり、入社2年目に結婚し、3年目に家のローンを組んで、30歳までにはサラリーマン生活を卒業する予定をしていたそうです。
絵を描き続けられるのなら、安定したサラリーマン生活を続けながら絵を描けばいいのにと思うのですが、兼業画家状態だと一日2〜3時間しか絵を描く時間が確保できなかったそうなのですが、専業画家にになると、一日12時間は確保できるとのこと。
このまま一日2〜3時間の兼業画家をした場合と、30歳から一日12時間の専業画家になった場合を比較すると、そこから10年間の専業画家の活動時間で、兼業画家が80歳まで続けた時間と同じになるのだとか。
かけた時間は経験の時間で、専業にすることで個展の時間や準備時間を捻出することもできるということで、活動を進化させるためにも専業画家はおすすめなのだとか。
その生活で作れる作品を作る
KarloKolumnoによるPixabayからの画像
色々な方の相談にのっていると、「1日1時間しか絵を描く時間を捻出できない」という方がいるそうなのですが、その時には「1日1時間で描ける作品を開発してみては?」という提案し、「作業部屋が狭くて大きな絵が描けない」という方には「小さな絵に挑戦してみては?」という提案をするのだそうです。
与えられた生活の中で工夫して絵を描いていくことで、できる表現を工夫するのが大事で、限定された条件の中だからこそ生まれる、新たな表現が生まれる可能性があるのだそうです。
無尽蔵な条件で創作活動を行える人は、ほんの一握りでしかないので、割り切って自分に与えられた状況を逆手に取るぐらいの考え方は重要なようです。
終わりに
私のような素人には、画家というのは絵を描くことだけ考えている人しか、画家にはなれないし、存在できないのかと思っていましたが、自分の作品を買ってもらって、自分の作品のファンを増やす活動も必要なんだなと、再認識できました。
普通の営利企業であれば、商品やサービスが売れて受け入れられないと成立しないので、当たり前といえば当たり前なのですが・・・・
美大であっても、自分の作品を買ってもらって、自分の作品のファンを増やす活動については、なかなか教えてもらう機会は無いのだそうで、先生自体もそのやり方を知らない人が大半なのだとか。
その役割を画廊に任せるのも手段の一つなのだそうですが、自分の足で歩くスキルを持つ画家さんは、なんか羨ましく見えます。
色々と考えさせられました。
普通の企業に勤めている人にも、商品やサービスが売れて受け入れられないと成立しないという現実を、再認識させられる本でした。
ではでは。