この本は世界史の中で、滅亡した48カ国をピックアップして、紹介した本です。
日本に住んでいると、まず聞かない情報ですが、結構国って無くなっています。
学校で世界史を学んでいる中では、そんなたくさんの国が滅亡したなんて話は聞いたことがないです。「国ってそんなに無くなってる?」こんなイメージだったのですが、この本を読むと、いろんなパターンで国が滅亡しています。
この本で紹介されている滅亡した48の国は、場所のイメージがつかみやすいように地図が描かれていて、こんなところに島があるんだ。とか、こんなとこに先住民がいるんだ。とか、そんな驚きもある内容になっています。
普通では知らない世界史を集めたような本です。
この本ってどんな本?
こんな方におすすめの本です。
・国が無くなるってどういうこと?を知りたい方。
・普通は学ばない世界史を知りたい方。
・国が滅亡するパターン?を知りたい方
こんな切り取り方をした世界史を初めて読みました。
この本では東ドイツなどの、学校の授業でも扱うような、有名な歴史も扱っているのですが、
9割方は「どこ?その国は」「いつ?」こんなことの連続です。
9割方は一般常識ではない世界史情報ばかりです。
国家の滅亡パターンがいくつかにカテゴリー分けしてあるのですが、時代が古いと、結構簡単に国を作ってしまって、結構簡単になくなってしまうパターンも結構多くて、情報の伝達スピードが向上した現代では考えられないです。気楽な感じで出来てしまっている国も多いです。
時代が現代に近くなっても、そんな理由で国が生まれて、そんな理由で国が無くなるのか?
近代の話だよね?と読みながら突っ込みたくなるケースもたくさん出てきます。
世界史マニアにはお勧めの本です。
読みやすさのイメージ
300ページくらいの分量です。
読み終わるのに3〜4日くらいはかかるかと思います。
一つの国の解説が5〜6ページくらいの構成が続きます。前後の繋がりはほぼ無いので、疲れたら途中で休んでも全く問題ありません。
この本のポイントなどなど
国の定義?
国の定義は難しい問題なのだそうです。
国連に加盟していたら国なのか?
オリンピックに出たら国なのか?
wikiで調べると、「国とは、住民・領土・主権そして外交能力を備えた地球上の地域」ということになるのですが、完全な回答は出ていないのだそうです。
実際に国の定義をGoogle検索をすると、たくさんの定義や説明が出てきます。
この本では、国民国家の概念が生まれたと考えられる、数百年前までの期間に限定しているのですが、著者が国の定義について完全な回答が無い。という立場なので、色々な形態の国が出てきます。
昔に「沈黙の艦隊」という、かわぐちかいじさんの漫画がありました(私の大好きな漫画です)。
潜水艦が国家を宣言するところから始まっていく、世界の軍事やパワーバランスを描いた内容のマンガなのですが、当時は凄い発想だなと思っていたのですが、この「世界滅亡国家史」で登場する、滅亡していった国々も、なかなかのストーリーがあります。
先住民とうまくやっていけるか?経済活動は成立するのか?飲み水などの滞在するための最低限のインフラはあるのか?うまくいかないのは歴史の証明なのか?
この本で紹介されている消滅国のパターンで多いのが、侵略して制圧して国を宣言して、そして消滅するパターンです。
制圧パターンは、歴史的には本当にうまくいかないです。
・先住民に仲間を食べられたり、
・自力で経済活動が成立できないから自立できなかったり、
・飲み水の確保からうまくいかなかったり、
・虫や伝染病にやられたり、
急激な制圧は本当にうまくいかないです。
Youtubeで山を開拓するような、開拓系のチャンネルがありますが、どのチャンネルもなかなかの苦労をしています。日本の一部の極小エリアを、現在のテクノロジーで開発しようとしても、大変なのに、ずっと昔の時代に国を切り開くのは想像を絶します。
本を読んでいると、無茶をするよなー。もっとうまくやればいいのに。
もっと慎重に進めればいいのに。
と思うのですが、このあたりは後世の人類の感想なので、個人レベルが仕掛けた制圧であっても、国が推し進めた制圧であっても「急激な制圧は長続きがしない」という歴史の証明なのかなと思いました。
解釈に次ぐ解釈が生んだ究極の世界最小の国、オタワ市民病院産科病棟
私がこの本で、もっともユニークな国と感じたのが、オタワ市民病院産科病棟で、オランダ王室のユリアナ王女が第三子を妊娠したことがきっかけで、発生した国の概念です。
ナチス支配下だったオランダが危険と判断したユリアナ王女がカナダに亡命したのですが、オランダ憲法で他国の土地で生まれた場合は王位継承権を失うというルールがあったため、ナチス支配下という特殊な事情を考慮して、法律の解釈と改正で乗り切った事例です、
具体的には、「赤ちゃんはシャボン玉で包まれたようなものとして考えて、そのシャボン玉の中だけはオランダとして治外法権が成立する」ということなんだそうです。
特殊事情の特殊ルールで、国の定義が曖昧な部分があるのですが、どうであれ世界史上最小の国の形となったことは、世界史の1ページとして興味深いパターンだなと感じました。
終わりに
たくさんの国を紹介することを目的とした本なので、どの国もさらっと終わります。もっと深堀して欲しい国などもたくさんあったのですが、ここから先は自分で調べていくしかなさそうです。世界史好きには興味深い本だと思います。
ではでは。