【半導体逆転戦略】半導体が足りない?日本で作る?半導体の世界の駆け引き

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半導体逆転戦略 日本復活に必要な経営を問う [ 長内厚 ]
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 「半導体が足りないので車や家電が作れません」

冗談みたいな話ですが、コロナ禍で実際にあったお話で、2024年現在はその影響も少なくなってきたようですが、半導体は今や大概の電気を使う製品には組み込まれていて、半導体がストップするということは、電気を使う物の生産がストップすると同じことになります。

世の進化の流れで、いろんなものに半導体が使われるのは理解できるのですが、
気になるのは「日本で作っていないの?」です。

もちろん日本でも作ってはいるのですが、現在の半導体のメインの生産国は、台湾、アメリカ、中国といったところのようなのです。
昔は日本がトップ生産国だった時代があったようなのですが・・・

日本が半導体で頑張っていれば、いまごろ日本経済は潤っていたような気もしますが、半導体の歴史は国と国との駆け引きの歴史でもあり、日本が半導体で頑張れなかった理由の一つもここにあります。

この本は、半導体をめぐる国と国との歴史を振り返り、そして今はどうなっているのか?、そしてこれからどうなっていくのか?について書かれた一冊になります。

半導体の世界情勢が知りたい方には、オススメの一冊です。
この一冊でよくわかります。

目次
第1章_ファーウェイ 7 ナノショック
第2章_ラピダスよりもJASMが日本の転機となるかもしれない訳
第3章_日の丸半導体の復権をかけたTSMCの誘致
第4章_技術だけ強い日本の戦略的課題
第5章_日本の半導体産業の歴史
第6章_数を追わないことの問題点
第7章_日米半導体摩擦を静かに見守っていた韓国の戦略
第8章_台湾が世界一に上り詰められた深刻な理由
第9章_米中貿易摩擦で漁夫の利を取れるのは誰か
第10章_安心という日本の価値づくり
第11章_中国を敵に回しすぎないこと
第12章_半導体産業に必要なのは経営戦略

 

 

この本の内容拾い読み

半導体の最先端製造技術

Cristian IbarraによるPixabayからの画像 

半導体の製造技術は回路の幅で示されることが多いです。
iPhone 15Proに搭載されているのが、3ナノメートルの回路幅の半導体で、今のところ流通している商品ではここが最小のようです。

ちなみに、1ナノメートルは1mmの100万分の1になるので、3ナノメートルは想像を絶する細かさなのですが、そんな細かさのものをどこが量産しているのか?

現在、半導体の生産技術でトップをいくのが台湾で、10ナノ未満の生産量では全世界の約50%を占めています。
約20%がアメリカ、15%が韓国といったところで、日本は10ナノ以上から登場する感じです。

10ナノを日本が作れるのなら充分じゃないの?とも思えるのですが、半導体の製造は装置産業と言われており、基本的には大量生産をして利益を上げていくビジネスになるのですが、

半導体工場は巨額の資金が必要なことから、資金を回収するためには大量生産を続けて利益を出し続けていく必要があり、そのためには技術力を上げることも重要な要素なのだそう。

確かにこれからのiPhoneは15Proに搭載した、3ナノより太い回路幅を採用することはないですもんね。

 

チップ4による中国の囲い込み戦略

Yolanda ArguelloによるPixabayからの画像 

半導体の勝ち負けは、現代社会においては各国の重要情報なんです。
国の経済による権益を左右するだけでなく、安全保障に大きな影響を与えるのがその理由ですが、安全保障?なんで?と思われる方も多いと思うのですが、
今の軍隊の戦力を決めるミサイルなどの誘導兵器には、半導体制御やAI技術が重要な要素になっているのだそうです。

なので、この分野で覇権を狙う国が一人勝ちをしてしまうと、世界の経済や軍事バランスが崩れる可能性が出てきます。

チップ4というのは、米国が同じ自由主義経済の価値観を共有する国や地域で連携し、最先端半導体の開発を囲い込もうという取り組みのことで、

「米国」「日本」「韓国」「台湾」
の4国で半導体における対中国包囲網を作っていこうという取り組みになります。

米国の最大の警戒先は「中国」なので、国の権益、安全保障に関わる半導体は敵対の姿勢を示す必要があるようで、経済でも軍事でも制圧されてはいけないといった意思の表れにも見えます。

半導体は単なる商材の一つで片付けるわけにはいかないようです。

 

終わりに

昔強かった日本の半導体の歴史は、アメリカとの貿易摩擦の影響で縮小していった歴史があります。

あの時頑張っていればと思わなくもないのですが、日米の関係を思うと当時はどうしょうもなかったのかなとも思います。
あのまま日本が半導体国家の道を歩んでいたら、世界の情勢は変わっていたはずです。

現代では各国が半導体には、国家間のパワーバランスを崩すだけのパワーがあるとの認識のようで、半導体をめぐる国家間の駆け引きはスリリングなものがあります。

半導体をめぐる情勢を知りたいのなら、この本はオススメで、地政学に興味がある人にも知識の補強をする意味ではいい本だと思います。

ではでは。

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