【人口減少をちゃんと考える】 人口減少社会の未来学

「人口減少社会の未来学」を読んでみました。

この本ってどんな本?

 

こんな方におすすめの本です。

・人口減少の社会がどうなっていくのかを知りたい方
・人口減少についていろんな人の見方を知りたい方
・現状とこれからの日本の人口の動きを知りたい方

人口減少の社会について、色々なジャンルから選ばれた11人の方々が、「人口減少社会に起きると予測されること」について書かれた文章を集めた内容になっています。

こういうテーマの本は、通常は一人で書き切るものが多いのですが、この本の構成は珍しいタイプの本で、各分野で活躍されている方々が寄稿する形で構成されています。

11人も書き手がいると、「日本の人口減少」といった、なんとなく暗めで重めのテーマも、意外な切り口で書かれる方もいるので、一冊丸ごと悲観的な内容に終始しない感じになっています。

この本の寄稿者は、学者、コラムニスト、編集者、建築家などなどと広いジャンルになっていて、知名度でもメディアで比較的見る方も、そうでない方も、いるといった感じで、意見の偏りが少ないかなという印象を受けました。

メディアで日本の人口減少についての報道で聞きがちな内容は、「日本の人口減少は進み、若者が少なくなって、子供は産まれなくなって、老人ばかりの国になる」といったものが、ほとんどだと思いますが、そうではない、そればかりではない見方がたくさん出てきます。

人口減少について、色々な考え方や、色々な視点を持っておきたい方には、おすすめの本です。一冊で「日本の人口減少」について色々な考え方に触れることができます。人口減少の見え方が少し変わると思います。

読みやすさのイメージ

300ページ弱ぐらいの分量で、
5〜6日はかかると思います。

寄稿集なので書き手が変わると同時に、文体や構成も切り替わるので、リズム良く一気読みをすることが難しいかなと思います。

1日に2人分の文章を読むぐらいが、私の場合ちょうどいい分量でした。それ以上を読もうとすると、読んでいて頭の中が少し混乱するかもしれません。

この本のポイントなどなど

人口減少は誤解が多い?

「人口減少の一番の理由は出生率が下がったこと。子供を産まなくなった。」どこでも聞けそうな論理ですが、寄稿者の1人の隣町珈琲店主で文筆家の平川克己さんが、興味深いデータを提示してくれています。

有配偶者の出生率は1990年頃の66%が最も少なく、そこから上昇していて2010年では79%まで上昇しているとのこと。噛み砕くと、結婚した場合に、子供を持つ家庭が約8割まで上昇したとのこと。

???なんか、知っている世界とイメージが違います。

ただし、結婚は晩婚化しているので、結果的に子供が生まれる数が少ないことが大きな原因のひとつだ。と意見されています。データの切り取り方は難しいなと、つくづく感じます。この意見が大きな原因とするならば、多分、打ち手は変わります。

普通と違う少子化対策

文筆家の平川克己さんの考える少子化対策は、普通聞くタイプの対策とは違っていて、晩婚化の流れが止まらないのなら、結婚しなくても子供を産める環境にしてしまえばいいじゃない。といった、読んでいる際には、まあまあ過激な内容だなとは思ったのですが・・・・

日本では、結婚せずに産む子供を婚外子という表現をするのだそうですが、この割合を増やすというのが、主張の一つなのですが、なんにせよ、この考え方・・・馴染みが少ない。

馴染みが少ないのも当然で、日本や、お隣の韓国では婚外子の比率が、諸外国と比べるとものすごく少ないそうです。2015年の日本の統計では婚外子は2%程度。2012年のフランスの統計では婚外子は約57%。文化の違いは大きいと思いますが、すごい数字です。

このシステムを推進していくのならば、金銭面や世間の空気感などクリアしなければならない問題は、日本ではかなり多いと思いますが、少子化を憂うのであれば、無視できないデータだなと感じました。

終わりに

この平川さん以外にも、少子化社会について色々な見方が書かれています。テレビなどのメディアを見ていると、少子化理由は一つと思ってしまいがちですが、そんなことは無いんだなということが学べる本だなと思いました。

他の10人の方々も、色々なアプローチで少子化社会を切り取っています。あまり若い方は今回の寄稿者メンバーには入っていませんが、それでも業界が違うことでここまで、見え方が変わるかとは、思いました。

興味深い本でした。
ではでは。

 

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