「国語辞典」
大人になると、まあ手にしない本の一つです。
わからない言葉はググってしまう人が大半なのでは?
そして、辞典は昔から昔から変わらないものと思っていませんか?
「辞書の中身は結構変わっているんです。」
実は国語辞典は、定期的に内容の改訂がされているのだそうです。
この本は、前身の明解国語辞典から始まり三省堂国語辞典になり、三省堂国語辞典は八版の改訂を行なっているそうで、その定期的な内容の改訂でかなりの言葉が消えていっています。
特に三省堂国語辞典は、現代の日常生活で使われない言葉は取り入れないという方針をとっているそうで、特に入れ替わりが激しいようです。
この本は、それらの言葉を辞書のように、あ行から順に並べてある構成になっています。
さらに、どの時代の改訂から消えていったのかもわかる構成になっていて、時代の流れを感じられる一冊になっています。
この本を読むと、紙の辞書がちょっと好きになります。
そして世代によっては、結構ショックを受ける「消えた言葉」が出てきます。
少し覚悟して読むことをお勧めします。
気になった消えたコトバ
freestocks-photosによるPixabayからの画像
MD
音楽保存のためのミニディスクと、防衛のためのミサイルディフェンスの二つの意味があったようなのですが、ミサイルディフェンスはともかく、音楽保存のためのミニディスクがもう使われなくなった言葉として、削除されたようです。
2020年までで生産されなくなったのだとか・・・・昔はこれがこれからの主流になると思っていたのですが。ちょっとショックです。
カジュアルフライデー
この言葉は印象深い言葉で、スーツにネクタイのサラリーマンが金曜は私服で仕事に行くという企画で、1990年代に大手企業などが積極的に採用していったことで、ちょっとしたブームになったのですが、なんせ私服すぎてビジネスから遠くなりすぎたり、ゴルフウエアのおじさんが大量発生したりと、当時の日本では難しかった企画でした。
きちがい雨
晴れていたのに急に降り出す雨の意味だったそうですが、令和4年の改訂で消えたようです。
差別的な言葉であることが大きな理由だったようです。こんな感じで差別的な言葉は軒並み消えていっています。時代だなって思います。
ちなみに、このきちがい雨は、現代ならゲリラ豪雨と表現されている気がします。
ファミコン
言わずと知れた任天堂のファミリーコンピューターですが、2008年の改訂で消えたそうです。三省堂国語辞典は、商品名や固有名詞には消極的な姿勢をとっているようで、この固有名詞系は結構驚く内容の言葉が消えています。
しかし、ファミコンはあっても良いのではと、ファミコン世代の人間は思ってしまうのです。
終わりに
辞書って本当に使わないし、見ない本なんです。
ブックレビューのブログを書いている、一般の人よりは本を読む私ですが、そんな私であっても縁遠い本が辞書です。
でも、この本を読むと、辞書って意外に面白い本だなって思います。
消えた言葉が、「まあまあ、これは消えるよね」と思うものはまだしも、「これは消えた言葉で、使われないの・・・」というショックを受けるものも多くて、なかなか気が抜けない一冊でした。
面白かったです。
ではでは。