地図と統計が好きな人はオススメの一冊です。
「この駅はスターバックスがあるよね」は分かっても、
「この駅はスターバックスは無い」は分からなくて、
「このあたりのマンション価格は高い」は分かっても、
「手頃なマンション価格の地域」はなんとなくしか分からない。
人の認識やイメージの把握って結構曖昧なものです。
よほど必要な情報でも無い限りは、曖昧なイメージでもどうにかなってしまいます。
ただ、カフェのある無しであったとしても、これらの情報をちゃんと調べると意外な姿が見えてきます。
この本は、そんなイメージでざっくり把握することの多い情報を、地図などのビジュアルでまとめた一冊で、チェーン店の分布や、お金と住まいについてや、地域と業界についてなど、いろいろな切り口で日本を分析した内容になっています。
地理好きにはもちろん、統計などのデータが好きな人にもオススメの一冊で、何より日本の意外な一面を知ることができます。
この著者の地図愛は良い意味で変態的です。
じっくりと読んでしまう、そんな一冊です。
目次
第1章_お店を可視化!
第2章_お金と住まいを可視化!
第3章_交通を可視化!
第4章_さまざまな自然を可視化!
第5章_人口を可視化!
第6章_まだまだいろいろ可視化!
この本の内容拾い読み
コンビニと郵便局
コンビニと郵便局、どこの地域にもあって生活の一部のようなこの施設。
大手6社のコンビニ総数が約5万7000店舗、郵便局が2万4000局なのだそうですが、コンビニと郵便局の立地は少し異なります。
コンビニが集中している地域とコンビニがない地域の落差は明確で、日本地図での配置を見ると人口の多い地域に極端に配置されているのに対して、郵便局は全国まんべんなく人口なんかには気にしないで配置されているといった感じになります。
郵便局は郵政民営化法などの法律によって、「全国において公平に利用できるようにする責務を有する」となっていることが理由のようで、採算が取れなさそうな地域であっても出局するのだそう。
都会のコンビニは人の多そうなエリアに集中して店舗がありますが(特に大きな駅前とか5〜6店舗は当たり前)都会の郵便局は人口というよりは、地図上で均等になるように等間隔に近い配置になっています。
この本の地図を見ると一目瞭然です。
詳しくは本書で。
日本人の半分以上は国土の2.1%に住んでいる
Sofia TerzoniによるPixabayからの画像
日本の国土の面積は37.8万m2なのですが、当たり前のことですが日本の全土に均等に人が住んでいるわけではありません。
当然、都市部に人は集中し、地方には人が少ないのですが、集中度合いでいうと国土の2.1%にあたる0.8万m2に日本の人口の54%の人が住んでいるのだそうです。
本書の地図では1平方㎢に5000人以上を密集地とカウントしているのですが、東京近郊、名古屋、大阪、広島、福岡、仙台、札幌以外は、ほぼ密集地になっていません。
本書の地図を見ると、こんなに極端なのかと驚きますよ。
ちなみに、一番密集しているエリアは東京都の豊島区で、1平方㎢に2万3182人が住んでいるとのことで、個人的にはもう少し散らばっても良いんじゃないのかなと思ってしまいます。
終わりに
「日本人なのに、日本の今がよく分かっていない。」
この本を読むと、本気でそう思います。
そして思い込みやイメージ操作をされていることも結構あるなーとも感じます。
多分、日本人の多くの人が「えっ」と思うそんな一冊です。
面白かったです。
ではでは。