【お寺ビジネスの知らない世界】築地本願寺の経営学

「築地本願寺の経営学 ビジネスマン僧侶にまなぶ常識を超えるマーケティング」を読んでみました。

経営コンサルの仕事をしていた著者が、超大手寺院の築地本願寺の経営改革を行なったお話です。

現在、経営的に厳しい状況の寺院が多いとのことで、築地本願寺といえども無縁の話では無いそうですが、働く方の意識改革に始まり、事業の多角化など、一般の企業と変わらない企業改革が展開されていきます。

お寺を舞台にした経営書です。面白い本でした。

この本ってどんな本?

こんな方におすすめの本です。

・お寺の経営の世界を知りたい方。
・ITが無縁な世界からの経営改革の例を見たい方。
・伝統的な組織のブランディングの考え方を知りたい方。

お寺の経営?
お寺ってビジネスをする必要があったっけ?

お寺は普通にお葬式や法要などで、経営が成立するのではないの?と思っていたのですが、この少子化傾向、お葬式や法要の簡素化などで、収入源が減る傾向にあるとのことで、この本の舞台となった、築地本願寺という大きな寺院でもその危機が迫っていたそうです。

そんな中で、経営コンサルの仕事をしていた著者が、築地本願寺の社外取締役(のようなもの)に就任して、経営改革を行っていく話です。

ブランディングやマーケティング、社内業務のIT化や新規事業の開拓など、普通の企業の経営改革と同じようなことが築地本願寺で行われます。

面白い本でした。経営書としてもオススメです。

読みやすさのイメージ

200ページ強の分量で、
2〜3日程度で読み終わると思います。

トータルの経営書といった感じの内容で、働いている方には、どこかに引っ掛かる部分があると思います。読みやすい本です。

この本のポイントなどなど

我が家の宗派ってなんだっけ?

いざ近親者が亡くなってお葬式になったとして、多分「どこの宗派だっけ?」になると思います。それくらい身近なものではないのが現状。

この宗派というものは、簡単にいうと「どこのお寺の檀家になっているのか」なのだそうです。この檀家というものは、江戸幕府が「全ての人は檀家として、どこかの寺院に所属しなければならない」という寺請制度によるものだそうで、檀家の管理料として、お布施を支払うという、経済の流れだったそうです。

また当時の寺院には、出生管理や転入出などの戸籍管理の役割もあったそうで、現在の市役所みたいです。だとしたら、お布施は当時の市民税みたいな感じなのでしょうか。

今は、出生管理や転入出は役所のお仕事なので、明治以降は戸籍管理の機能は無くなり、檀家の葬式や法要を行う機能のみが、そのまま残ったのだそう。

世代が変わっていけば、宗派がわからなくなる理由もなんとなく理解できます。
なんかの機会に、自分の宗派を確認しておこうと思いました。

 

お葬式がコンパクトに?

お葬式がコンパクトになっているそうです。

私自身も日本人の平均よりは、確実に多い回数の、お葬式に出ている巡り合わせの人生なのですが、近年のお葬式のコンパクト化は少し気になっていました。私がお葬式に参列しだした30年前と、今のお葬式とは、あきらかに違うなと。

地域性もあるとは思いますが、昔は亡くなると町内会の方がお手伝いに来られていたり、ご近所であれば、お通夜は参列するものだったと思いますが、近年ではそんなことはほぼ無いです。

この本を読んで、現状が分かったのですが、いろんな方を呼んで、通夜と葬儀を行うのが「一般葬」というそうですが、2014年には約4割程度が一般葬で、家族だけで送る「家族葬」が同程度まで増えてきて、

通夜と葬式を一日で済ませる、「一日葬」や、通夜と葬式を省略して火葬をもって葬儀とする「直葬」というのもあるそうで、関東圏では2014年くらいの調査で、直葬が2割くらいにまで増えているそうです。

そんなことになってるんだ・・・結構衝撃です。
このコロナ禍を経て、この比率は一体どうなったんでしょうか?

 

お寺の経営破綻?

企業の経営破綻はよく聞く話ですが、お寺の経営破綻なんて聞いたことなかったのですが、確かにお寺の収入源の、お葬式や法要が減ってくると、収入が減ってくるのは理解できます。

この本の調べだと、年収300万以下のお寺が約半分くらいだそうで、他の仕事で収入源を作っている、兼業の方も多いとのこと。
それでも、大手の寺院ではまだ経営が安定しているところもあるそうなのですが・・・

・・・・・
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企業ですか!

 

こんなツッコミを入れたくなります。
お寺は、営利団体では無いというイメージなので、経営破綻の概念がイメージつかなかったのですが、でも本質は宗教”法人”で、法人なのだから企業なんですよね。
忘れがちなのですけれど。

ただ、なんとなく個人の心情としてはお寺とビジネスは遠い存在でいて欲しい気もするのですが、江戸時代の檀家制度に始まる、お寺の歴史などを見ると、役割が変わって、時代が変わるのなら、収入モデルは変わるんだなーと、普通の企業であれば当たり前なのですが、お寺であったとしても、時代の変化に対応する必要があるんだなと感じました。

終わりに

お寺の経営の内情や、檀家制度の歴史など、知らない世界が満載でした。
経営とは関係ない世界と勝手に思っていたイメージが一変しました。

面白い本でした。オススメの本です。
ではでは。



 

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