「茶室をつくった。―佐川美術館 樂吉左衛門館 5年間の日々を綴った建築日記」

「茶室をつくった。―佐川美術館 樂吉左衛門館 5年間の日々を綴った建築日記」
を読んでみました。

この本ってどんな本?

佐川美術館 樂吉左衛門館の展示室と茶室を建設していくお話で、陶芸家であり、
今回の建物の意匠設計者の樂吉左衛門さんの、建設に費やした5年間の記録日記
を掲載してある本です。

この本のざっくり紹介

すごかったです。
私も意匠設計の方の意向を受けながら、ものを作っていく仕事が
たまにあるので、感情移入しながら読んでいました。

初めに40ページくらい、実際の建物を写真で紹介されてあり、
そこから5年間の記録日記が始まります。
この建物すごいです。緊張感がすごいです。実際に見たくなります。


序盤
思考をまとめていくのに文学的な表現が続きます。建物につながるのか?
とも思える内容も随所に出て来て、それがだんだんと平面に落ちていきます。
この時点から、建築的な設計は竹中工務店の方が図面化しながら進むのですが、
この先も続く、変更に次ぐ変更に寄り添う姿勢は見事だなと感じました。

中盤
その間に室内の仕上げイメージも並行しながら、変更が続きながらの大きな
プランニング作業になります。この頃には模型も使っての樂さんの検討が続きます。
意匠設計の突き詰める思考の流れを、読み取ることができるのですが、
意匠設計をされる方のイメージが変わりました。
失礼ながらこの仕事は、感性のみで好き嫌いで判断を下すイメージが正直あったので、
その苦悩が読み取れて、この職業への印象が大きく変わりました。

終盤
ここに差し掛かる段階で実際の建設作業に入っていくのですが、このあたりから
作業を行うスタッフが一気に増えるので、確認や指示などのコントロール作業の
大変さを感じられます。併せてどんどん決定しなければならないことや、
作ってみたけども、イメージが違う部分は、やり直しや手直しの指示を出し、
材料探しも行うという、膨大な作業量が記録されています。

最終盤にも調整は続き、現場作業の方との距離感や、無茶と分かっていながらも
変更をしなければならない、苦悩が感じられました。

読み終わった際に、
「いやーようやく完成したなー」
そんな感想です。

この本をオススメしたい方は?

建設に関わる方は圧倒的に、意匠設計を実現する人の方が多く、仕事をするうえで
「なんで」
「そんなむちゃくちゃな」

ということを思ったことのある方はたくさんおられると思いますが、
そんな方に一度読んで欲しい本だなと思いました。

ページ数と読みやすさのイメージ

全450ページ強の内容です。読み切るのに数日はかかります。
ただ日記形式で内容はぶつぶつと切れるので、途中で読むのを止めやすいです。
少しづつ読んでいく読み方でも楽しめると思います。
ではでは。

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